私が大阪の淀川沿いのある工場地帯で働いていた頃の話です。その会社が増改築をするということでJRの線路側に仮の倉庫を建てました。仮の倉庫だったので地鎮祭も何もしなかったのですが、その倉庫を建てた場所が問題の場所でした。


その頃、私はその会社に勤務して1年目。その場所が、いわくつきの場所だなんて思ってもみませんでしたし、誰もそのことには触れませんでした。

入社1年目の私は、時々倉庫に文房具や保管されている書類を取りに行ったのですが、その倉庫はなんだか雰囲気がおかしいのです。会社の建物の地下のボイラー室の方が、まだ雰囲気が良い感じすらするくらいです。なんというのでしょうか、倉庫のドアを開けたとたんに、ヒヤッとするというかぞっとするというか電気を灯しても冷ややかでぞくっとする雰囲気のする場所なのです。


 私が、その倉庫に入ると、何故か人の気配がして視線を感じるのです。でも、あたりを見回しても誰もいません。真夏の暑い日でも、不思議なことにその倉庫の中だけは、簡単な作りなのに、冷房も無いのに冷ややかなのです。
 

不可解な出来事も頻発しました。ここに保管してあるものが、理由も無くなくなるのです。前の日には、確かにしまったのに、次の日にはないということが多々ありました。


決して効果なものや重要なものでないのですが、それ故に、どうしてその物が誰も倉庫に入った形跡がないのになくなるのか本当に不思議でした。

秋のある日、私は倉庫に言われた備品を取りに行きました。倉庫には、いらなくなった家具が無造作に置いてあったのを覚えています。私は、倉庫に入ったとたんに非常な眠気を感じてそこにあった長椅子の上に少し横になりました。するとどうでしょう、金縛りにあって身体が動かなくなったのです。


しかも、私に近づいてくる足音が聞こえて来るではありませんか。


私は、恐怖で倉庫から逃げ出したい思いでいっぱいでしたが身体が動きません。目を開けることも声を出すこともできません。足音はだんだんと近づいてきます。


そのうち、足音がぴたりと止まりました。誰かが、私を上からじっと観察しているようでした。


どれだけ時間が経ったのか、事務所に戻った時に、同僚が心配をしていなかったところを見ると実際は10分もたっていなかったようですが、気配が消えて、身体が動くようなると私は言われていた備品も持たずに倉庫を飛び出しました。
 
会社を定年したおじさんが、地下のボイラー室で働いていました。


私は、こんなおじいさんなら、私が変な体験をしたことを話しても聞いてくれるだろうと思って倉庫での怖い体験を話すと、「そうか、あそこはかなり昔だけど、一時期霊安室みたいなものがあったからなぁ。霊感が強い人は感じるかもしれないなぁ。

ずっと空地だったんだけど、場所がないから仮倉庫を建てたんだろうなぁ」と、言うではありませんか。


新しい倉庫が完成した後、その仮倉庫は壊されたので、今ではそこは更地です。人は、地縛霊なんて・・・と、笑うかも知れませんがあの一角に何かがいたと私は今でも信じています。