これは私が小学生の頃の話です。
私は小さい頃は霊感が強かったほうなのか、ちょっとした霊体験をいくつも経験していました。
たいていは怖いものだったんですが、これはまったく怖くない霊体験です。
今思い出しても、ただただ不思議な体験だったなと思うばかりです。

当時うちにはおばあちゃんがいて一緒に暮らしていましたが、おじいちゃんは私が産まれる前に亡くなっていました。
ただ遺影が飾ってあったので、顔だけは知っていました。

ある日のことです。
私は階段を降りようとして、階段の一番上でつまづいてしまったのです。
その時自分でも「落ちる!」と思い、一瞬で覚悟を決めてとっさに目をつぶりました。
しかし私の体はそのまま落ちることはありませんでした。
なんと私はそのまま宙に浮いたのです。
その瞬間、体がふわっと浮いたのが自分でもはっきりとわかりました。
何が起こったのかと目を開けると、そのまま私の体はゆっくりと空中ででんぐり返しをするように一回転し、そのまま静かに階段の下に着地したのです。

しばらくは何が起きたのかわからずに呆然としていました。
すると階段の上で何かが光っているのが見えました。
見るとそれは人の形をしたものでした。
光輝く誰かがそこに立っていたのです。
光っているため顔はよくわかりませんでしたが、そのシルエットを見て直感的に私は「おじいちゃんだ!」と思いました。
私も何も言えませんでしたが、その人も特に何もしゃべることなく、だんだん薄くなって最後には消えてしまいました。

ここでようやく我に返った私はあわてて茶の間にとんでいきました。
そこには母と近所のおばさんがいてお茶を飲んでいたのですが、私が大慌てで今の話をすると二人で「夢でも見たんでしょ~」と大笑いされました。
どれだけ真剣にうったえても取り合ってもらえませんでした。

私は信じてもらえなかったことが納得できずにそのあとおじいちゃんの遺影を見に行きましたが、写真の中のおじいちゃんは特に何か変わることなく、いつもの優しい笑顔で佇んでいるだけでした。
でもその笑顔を見れば見るほど、やっぱりさっきの人はおじいちゃんだったんだという気持ちが強くなり、私は写真のおじいちゃんに「ありがとう」とお礼を言ったのでした。

結局親にも誰にも信じてはもらえませんでしたが、あの時のことは絶対に夢ではなかったと私は確信しています。
その時の経験は、大きくなった今でも鮮明に思い出すことができます。
一度も会ったことのないおじいちゃんだけど、きっといつも天国から見守っててくれたんだと思います。