これは、2015年に最初に見た怖い初夢の話です。
夢のなかで、私は大学生の頃くらいの姿をしていました。
電車に乗っていると、窓の外から何かが見ているような気がしてその窓をのぞきますが、窓のそとは暗く、夜の街が流れているだけですし、他の乗客たちもこちらを見てはいません。
おかしいな、と思っているとみるみる気分が悪くなり、ふっと頭の中にピンク色をしたタツノオトシゴのイメージが湧きました。
イメージはどんどん強烈になっていき、最初は紙に描いたイラストのようだったタツノオトシゴがどんどん具体的になり、鱗まで目で確認できるほどはっきりとしたイメージになって行く頃、ようやく電車は駅につきました。
この駅も、私は現実では一度も降りたことのない通過駅なのですが、不思議と夢の中で出るときはいつも同じ構造をしています。
気分が悪い私は一旦電車から降りて駅で休憩していたのですが、それでもどんどんタツノオトシゴのイメージは強まり、もう隣にでもいるかのような感覚すらします。

そして、それに比例しておかしなことを感じました。
通過駅の中をよく一緒にしゃべっている友人が歩いているのに、名前が思い出せなくて声をかけられなかったのです。
単なるど忘れではありません。
その証拠にいくら思い出そうとしても、友達も先生も、親や兄弟の名前すら思い出せなくなっているのです。
ケータイで確認しようとしても名前のところは目が滲んだように見えず、誰の名前も思い出せません。

自分の記憶がピンクのタツノオトシゴに食われてしまっている、そう感じました。
その後、私はひたすらに考え事をして新しい記憶を作り続けることで難を逃れましたが、夢はこれだけでは終わりませんでした。

学校に向かうと(夢の適当さからか学校は中学時代の校舎でした)、友人たちもピンクのタツノオトシゴの話をしているのです。

都市伝説のようになっていたその話は、口裂け女のように避ける呪文まで語られていました。
私はその後、幼馴染2人と遊んでいたのですが、遊んでいる最中、ふと1人(仮にAさん)の名前がまるで出てこなくなりました。

けれど、今度は他の友人たちの名前を呼ぶことはできました。
Aさんのあだ名はわかるのに、本名がまるきり分からず、Aさん本人も「なんで私の名前を呼ばないの?」と不安そうにしています。

今度はAさんがピンクのタツノオトシゴに食われているのだ、と分かり、なるべく考え事をするように、と言いつけ見ていたのですが、廊下を歩いていて、曲がり角をAさんが私たちよりも先に曲がった直後、Aさんはいなくなっていました。

ピンクのタツノオトシゴに食べられきってしまうと、その人がいなくなるのだと感じました。

夢の中の私はAさんがいなくなった、と感じてショックを受けましたが、ついさっき話していたAさんの顔も、今度はあだ名すら思い出せませんでした。

夢から覚めた私は、Aさんという幼馴染などいない、ということを思い出しました。

ただの夢、と言い切ってしまえる内容ですが、そもそも本当にAさんはいなかったのか、夢の中のようにピンクのタツノオトシゴに食べられて忘れてしまっているのではないか、と不安がつきません。