あれは私が中学二年生の頃の話です。夏休みに教師と生徒とその保護者の交流を図るPTCという学校行事があって、住んでいる場所から比較的近くにあるキャンプ場でキャンプをした時に心霊体験をしました。

ゲームをしたり、みんなで夕飯を作ったり楽しい時間を過ごしていたのですが、夜になって肝試しを兼ねたオリエンテーリングをしようという話になりました。

田舎の山にある小さなキャンプ場だったので先生や親達も危ないことは起きないだろうということで許可が下り、くじ引きで決めた2、3人のグループで散歩コースを順番に歩いていると「キャー!」という女の子達の声がしました。
どうせ虫でも出たんだろうとその時は思っていたんですが、その女の子達のグループに追いついて話を聞いてみると、この時間(夜の20時半ぐらい)に3歳ぐ らいの浴衣姿の小さな男の子が走っていって消えたと言うのです。

クラスのみんなで「そんなはずはない」「迷子だったら大変だ」「もしかしたら幽霊なん じゃ?」と会議をしましたが、その日は普通の日ではなくキャンプという非日常的な時間を過ごしていたので、キャンプファイヤーを囲んであれこれ話をしてい る内にその話はうやむやになって、何事も無かったように時間が過ぎていきました。

キャンプファイヤーの火が消えて、オールナイトで騒ぐ!と言っていた男子 達も眠気に勝てず、だんだんとクラスメイト達がテントに戻って行く頃、私の友達がトイレに行きたいから付いてきてと言うので一緒に行く事になりました。友 達がトイレから出てくるのを外で待っていると、ふと視線を感じその方向を見ると…浴衣姿の小さな男の子が私を見ていました。

時間は真夜中の1時。どう考え ても3歳ぐらいの子供が一人で出歩く時間ではありません。普通だったらさっきの話を思い出して恐怖を感じるはずの私ですが、なぜかその時は怖さよりも心配 の方が先に立ってその男の子に「お母さんは?」と思わず話しかけてしまいました。

男の子は首を横に振るだけで返事をしません。勢いで話しかけてからどうに でもなれと思った私は「早くおうちに帰った方がいいよ」と、もう一言その男の子に話しかけました。すると男の子は一度うなずき、私に手を振ると、暗闇の向 うへ歩いて行き、消えてしまいました…。

心臓が壊れるぐらいドキドキして「どうしよう!」という気持ちでいっぱいになりましたが、なぜか誰にもその体験を 話す気になれず、キャンプが終わって家に帰ってから母に話すまでこの心霊体験は秘密にしていました。

怖がりのはずの私がその時にあまり怖いと思わず居るこ とが出来たので、あの男の子がもし幽霊だったのなら悪いものではなかったのではないかと思います。私の人生で一度きりの心霊体験です。