あの出来事があったのは、2013年の夏のことでした。
 私は茨城県の某病院で看護師をしています。病院というと心霊体験が当たり前のように思われるかもしれませんが、看護師として7年ぐらい勤務して幽霊をみたという体験はただの一度もありませんでした。そもそも、その体験をすることとなったいきさつが、2011年3月11日の地震の影響で病院のいたるところで耐震工事をすることとなり、何期かにわけて耐震工事をするために必要になったからです。
病院というのは24時間体制で入院患者の対応をしなければならず、工事をするからという理由で病院を休診するわけにもいかず、工事の期間は一定期間違う部 署へ引越しをして仕事にあたっていたのです。

そして、私たちの病棟が耐震工事を受ける順番になり、他病棟を間借りしていました。古い病棟なので、夜勤中の 仮眠をする場所は決して綺麗とは言えない倉庫のような場所でした。はじめは気味が悪い程度にしか思わず、簡易式のベッドに布団を敷き、2時間程度仮眠をと ることにしたのです。

寝苦しい感じもありましたが、少しでも目を閉じて眠ろうと横になったのです。寝返りを何度か試みたりして、眠れそうだなぁと思ったそ の瞬間、目の前がエレベーターの中の情景に変わりました。あれ?変だなと思うぐらい頭ははっきりしていたのですが、視界でいう左上の辺りに黒いもやのよう なものがあり、人の形をしたものが宙に浮いていました。

直視してはいけないと思い、左上はみないように一点だけを見つめて視線をずらすことができませんで した。その黒い影のようなもやが動き、自分の視界に入ろうとしたため必死で目を閉じ、みないように、みないようにとしていると、今度は右足を引っ張られた のです。その衝撃を受けて目を開けると、仮眠をしようとした部屋に変わり、頭はすっきりしているのに、体が言うことを利かない、なにか思いものが覆いかぶ さったような状態に変わったのです。

なにがなんだか分からない状況で、「あぁ、これが金縛りか。」と思い数秒、数分動けない状況が続きました。力を入れて も体が軽くなった瞬間があり、急いでその部屋をあとにしました。

 後日、そのときの出来事を職場のスタッフに言っても信じてもらえないと思い、現 在は違う病院で働いている先輩に話したところ、衝撃の事実がかえってきました。私たちが仮眠室として使用していた部屋は以前はその病棟で亡くなった方の遺 体を安置していたということでした。そのときばかりはこの世のものではない存在を信じずにはいられませんでした。それが私が感じた心霊体験です。