今からやく10年ほど前、まだ新婚だった時の話です。
ある時、夫とどこか遠出をしよう、という話になりました。
ドライブが好きな私は、喜んでオーケーしました。
隣りの熊本県までドライブする事にしました。
地図を広げて、楽しい計画を練りました。
私達が行き先に決めた場所は、歴史的な場所でした。でも、その場所が、地元の人間は近寄らない、心霊スポットだとは知りもしなかったのです。
早朝に出て、着いた時には昼過ぎでした。
そこは、公園になっていて、敷地内に資料館がありました。
資料館に行こうと、公園に入りましたが、もう雰囲気から全然違います。
綺麗な公園ですが、人は誰もいなくて、寒い日だったのですが、その寒さとは違う、何だかひやーんとした雰囲気。

慰霊塔のあたりは、異様な雰囲気で近寄ったら耳のそばで、ピリピリ、ビリビリと謎の音が小さくしました。
資料館は雰囲気がまた違って、普通の感じだったので、ほっとした半面、外の異常な雰囲気がまざまざと感じられて、資料館を出るのが正直嫌でした。

あまりにも怖いので、もう帰ろうと言いながら車に戻りました。
駐車場に戻るには、また、あの慰霊塔の前を通らなければなりません。

「ああ、嫌だなぁ」と私が言うと、
「仕方がないよ。急いで通り過ぎよう」
と夫が元気づけてくれて、二人で早足で慰霊塔の前を通り過ぎようとしました。
男性の声か、女性の声かは分かりませんでしたが、
「クスッ」と、誰かが笑う声がしました。

私達のすぐ横でです。
私達の回りには、いや、この公園自体に人はいません。
気が付かないふりをしながら、私達は早足で駐車場へ急ぎました。
車に乗り込んだら、緊張がほどけたのか、私も夫も力が抜けました。

「変な所に行っちゃったな。さあ、早く帰ろう」と、夫が言い、私達は帰りましたが、帰る道中で二人とも気分が悪くなりました。誰かが肩を掴んでくるのです。
とても力が強くて、食い込む5本の指がはっきり分かりました。
「痛い、痛い、止めてえ!」と、思わず声をあげました。

夫も、
「俺も肩が痛い。誰かが掴んでる!」
と、苦しそうにしています。
途中デパートの駐車場に車を停めて、二人ともやっとの思いで車から外に出ました。

私達が、その公園が結構有名な心霊スポットで、幽霊の目撃談が多い場所だ、と聞いたのは、それから1年くらい後、同じ職場で働いていた熊本県出身の社員の人からでした。

「私達は、行った事ないです。地元の人間は、肝試しにも行かないですよ」
と言われました。2度と行ってません。