20年前、私が大学生のころの話です。
冬の夜、友達グループで遅くまで盛り上がり、ノリで肝試しに行くことになりました。場所はいわく付きの観光施設跡地。昭和40年代に出来、当時はかなり集客もあったのですが 山間部でしかも奥地というへんぴな場所に造られたため人気もすぐ下火になり、潰れたということでした。いつからか霊が出るとか道中の橋で振り返ると祟られるとか、噂があとを立たない心霊スポットとなっていました。
男女8人、ペアになりクルマ4台で向かいました。目的地まではとくになにも起こらず・・・・ちょっとしたお祭り気分で訪れた私達は、駐車場で鬼ごっこして遊んだりとかなり余裕をかましていたと思います。

『じゃー 行こうか!』さっそく皆で、廃墟に向かうことに。ガラスがすべて割られた建物、暴走族がスプレーで○○参上!と落書きしたあとを見ながら付近を散策しまし た。『とくにこれと言って何も感じないね・・・・』と顔を見合わせて笑った瞬間、前を歩いていた男友達が小さな悲鳴を上げてこちらに引き返してきました。 それを見た私達もパニック状態になり、慌てて建物の外に。

『白い服の女おった!絶対に見た!ヤバイって!』歯の根が合わずカチカチ言わせながら、 真っ青になって話す彼ら。うわ、マジなんだ・・・・そこで初めて私は、自分たちが危ない空気に包まれていることを悟りました。『帰ろうか・・・』誰ともな く言い出し、みんな大人しく駐車場に戻ることになったのですが、女友達のAとBはふくれっ面で『えー!せっかく来たのにつまらーん。もっと楽しめるはず だったじゃーん』と、静まり返った中を追いかけっこし始めました。暗闇の中を、キャーキャー逃げ回るB。(もう、やめとけよ・・・いい加減空気読んで~) と半ば呆れたとき、突然Bが視界から消えました。え?

『バカ、おいっっ!!しっかり持て!!』彼の声で我に返ると、なんとBは駐車場にポッカリ口 を開けていたマンホールに落ちていたのです。何が起こったかわからず泣き叫びながら男の腕にしがみつくB、腰を抜かすA。マンホールは、車を止めた場所か らすぐのところにありました。鬼ごっこしていた場所です、さっきまで間違いなくマンホールはフタがされていたはず。なのにどうして開いているのか?そして 肝心のフタは何処へ行ったのか?外したのは・・・・誰なのか?そこにいた全員、思考がおかしくなりそうでした。

何とかBを引きずり出すと、彼女は 泣きながらも恥ずかしさを隠すように『ごめん!ほんま最後にこんなドンくさいこと・・ごめん。ハイ、帰ろ!』とはにかんで言いました。精一杯、明るく切り 返したんだと思いますが。そして来た時のように各々のクルマに乗り込んで、山道を戻っていったのですが・・・

先頭はAの乗った車が、どんどんスピー ドを上げていくのです。後ろの3台が必死でついて行くも、引き離される。昔ながらの、クネクネした峠道にもかかわらず物凄い速さで遠のいていきます。な に?いったい何がどうなっているの?当時は携帯電話はなく、やっとポケットベルが若い子の間で普及し始めたかなーという頃でした。連絡を取り合えるはずも ない。とにかく訳がわからないうちに、結局残りの子は引き離されてしまいました。峠を抜けた先で3台集まり、何が起きたのかどこに向かったのかを尋ねるも 誰もわからない。Bの家に電話を掛けてみましたが、留守電になるだけ。全員途方に暮れていると、40分後ポケベルが鳴りました「○○ビョウイン49(至 急)」。

すぐにその病院に向かうと、Bは手術中だったのです。

彼女を載せたクルマを運転していた子の話では、『帰り始めた時は、ぜんぜんいつもの 調子のBだったんだって。普通にバカ話で騒いでたんだけど・・・そのうち急に泣き出して。どうした?って聞いたらさ、泣きながら足を指差すの。んで、見た らさ・・・、あいつのジーンズの膝から、間欠泉みたいに血が吹き上がってて(泣)ヒイヒイゆってんだよアイツ、笑いながら、でも泣いてんの・・・。もう 俺、失神しそうになりながらひたすら飛ばしてココまで来たんだよ。』彼はぐしゃぐしゃの顔で、話してくれました。

Bは右膝を14針縫い、そのまま入院となりました。
病院を出たのはもう明け方でした。残りの仲間と解散する間際、男連中が言っていたことがいまだに頭から離れません。

『あの場所で、白い服の女を見たって話だけどさ・・・・。あれ今になってよく思い出してみると、白い服、あれナース服だった気がする。看護婦だったと思うんだ。』
Bは、看護婦の霊に祟られてしまったのかもしれません。