今から書くのは、私が高校二年生の夏に体験したゾッとした恐怖体験です。
 当時、交際していた同い年の彼女とデートをしていた時です。珍しく普段は通らない道を通り、子供達が賑わう少し大きな公園でお喋りをしていた時のことです。
時刻は夜の20時を回った頃だったと思います。1メートル置きに配置されたコンクリートの置物に腰掛け、二人で楽しく話していると、二人の間を覗き込む 様に40代後半の男性が現れたのです。元々、そこはホームレスが多いという公園だったので、関わらない様にしばらくの間無視し彼女と話を続け、ある時ふと 不可解な事に気がついたのです。

二人の間を覗き込んでいる時点で可笑しな話なのですが、その男性に気づいている様子が全くないのです。

これは変だと思った私は、恐る恐る視線を男性の方へと少しずつ向けたのですが、顔を直視する事が出来ないのです。何故なら、姿が真っ黒で顔を識別するどころか性別すらも判断できない状態だったのです。

この時、異常を察知した私は何も気づかない彼女に対して、
「ちょっと歩こうか」
と、 さりげなくその場を離れる口述を作り、その場から離れ、ほんの数秒して後ろを振り返りましたが、黒い男の姿を確認する事が出来なかったのです。先ほどま で、居たはずの黒い男が居ないはずがないと、周囲を探しましたが、その行動は逆にそこには何も居なかったという事実を突きつけるものでしかなかったのです。

それから、家に帰り冷静になった私は、姿をちゃんと認識出来なかった黒い男の事をなぜ『男性』だと認識したのか、そして、40代後半だと思ったのかと考えた時、背筋が凍る様な思いをしました。

後日、高校の同級生にその公園の話を聞くと数年前にその公園に出没していた40代後半の男性のホームレスが学生と思しき二人組に撲殺されたと言うのです。

その話を聞いた私は、この世に憎悪の念を残したホームレスの男性が自らを殺した二人組を捜すため、私たちの事を覗き込んでいたのだと思ったのです。

それからすぐ、私は彼女との別れを経験し数年間、黒い男の存在を忘れ去ろうとしていた時です。

ふと、黒い男の事を思い出し、あの公園へ行ってみようと思いたった私は深夜その公園へ向かう事にしたのです。なぜ、深夜に向かおうとしたのか今でも分かり ませんが、私は車で15分ほどで着くあの公園に向かったのです。道も大体覚えていましたし、少し見るだけという気持ちで車を走らせたのですが、3時間ほど 経っても公園へたどり着く事が出来ずにいたのです。

しかし、どうしても行かなくてはと言う気持ちから車を止める事はせず私はひたすら車を走らせ、公園があるであろう場所をグルグルと回り続けたのです。

それからどれだけ、回っても公園へたどり着く事ができず、そのまま朝を迎えた私は帰宅する事にしたのですが、既にそこは家の目の前だったのです。

私が体験した奇妙な恐怖体験はここまでなのですが、未だにあの現象を理解する事ができずにいます。最近になって知人からある話を聞き、少しだけ落ち着いたような気がします。

その話というのが、もしあの黒い人が幽霊なのだとすれば、かなり危険だったという事、そして、あの公園にたどり着けなかったのはその危険を察知した守護霊が守ってくれたのではないかという事でした。確かにあの状況でそれ以外に説明がつかないのです。

でも、あの状況と私の行動は一体何だったのか数年たって黒い男を思い出した時に、あの男に取り憑かれてしまったのか、それともあの場所へ誘導されていたのか、本当に謎ばかりが残った出来事です。

何となくですが、もし、あの時公園へたどり着く事が出来たとしたら私は今この話を書く事が出来なかったと思います。