ずっと、夢の中の出来事だと思いながら、気づけば高校生になっていました。
それまでにも不思議だな、と思う出来事はいくつかあったのですが、とても気にするものと気にしないものとありました。
例えば、中学生の時の学校からの帰り道、「オイ!」と男の人の声が聞こえたと思って後ろを振り返ると誰もいなかったりしました。自転車通学だった ので、通り過ぎたのだろうと思っていましたが、約3日ほど続いてそれは終わりました。が、今度は髪の毛を引っ張られるのを感じ、後ろを振り向きました。け れどもまた誰もいません。
都会ではなく、田舎の一本道、人がいればすぐにわかるような見晴らしのいい道でした。

中学生の頃はその出来事がとても不思議なできごとで、それから少しづつ見間違いをするようになっていきます。たとえば、人の頭に見えたものがなんでもない草だったり。
誰かが横ぎったと思ってよく見ると何もなかったり、今でもあるのですが、「見間違い」だと思うようにしています。だって、2度目は同じものを見ませんから。

ずっと、夢の中の出来事と思っていた事を、ある日面白おかしく家族に話しました。
内 容は、私がボートから落ちて顔が砂に埋まって足が海から出て逆立ちをしている状態の夢で、年齢的にいうと3歳くらいです。それを私は見ているわけですか ら、夢ですよね。なので「こんな夢が忘れられなくて!」と、笑いながら言っていたら、そこにいた家族全員が顔を見合わせて「それ本当にあったよ」と言いま した。

「え?」思わず聞き返す私に本当にあったと念を押すように言うのです。でも、私はそれを見ていて苦しくともなんともなく面白い夢だったなとしか記憶にないのに、と何度も話すのですが「確か3歳くらいの時にそんなことがあったよね」と皆口をそろえて言うのです。

つまり、私は自分のそんな姿を自分で見ていたということになります。それも、夢のように。頭の中ではその出来事はとてもカラフルに処理されていて、とても楽しいだけの夢であったのに、一気に現実に引きずりおろされた気分でした。
こんなことがあるんだ。私はしばらく茫然としていました。

思 えば小学校5年生の頃に病気で家に父のお姉さん、つまりおばさんが一緒に住んでいました。なにかと厳しくしつけられた私はある日の夜中、ものすごく強く 「死んでしまえばいい」と念じながら眠りにつきました。すると、その夜中母と父に叩き起こされて、そのおばさんが死んだというのです。私はその現実より も、自分が念じた内容に驚いていました。あんなに強く念じたことは、あれからもなく。しようとも思いませんが、母と父に促されるまま着替えていたのかその 辺の記憶が私にはありません。気づけばおばさんの死体が家に運ばれていて本当に死んでいるのか、冷たくなった皮膚を少し触ったくらいです。

涙など出るはずもなく、私は自分が殺したんだと思い少しパニックになりました。
お葬式の流れも忘れてしまいましたが、とりあえず学校を休みたくておばさんが死んだことが悲しいわけではないのにぼろぼろ泣きながらしばらく学校を休んだのを覚えています。

人の影を見るのは慣れました。
2度見すればちゃんとしたものに見えるからです。はっきりとした幽霊は見たことがありませんが、死んだおばさんの部屋が空いたとき、私はその部屋にうつりました。

それからしばらくすると、金縛りにあいました。金縛りの原理は「疲れ」だとか色々言われていますが、私にはおばさんが「のっている」ように感じました。息は吸うことも吐くことも出来ずにかなり苦しんで苦しんで「このまま死ぬのかな」と思ったときに解放されました。

色んな事を思い出します。家族が大勢いた頃、厳しかった日々もあったけど私は「このまま続けばいい」とも思っていたのは確かです。
怖いようで不思議な話。私はいつまでも大切にしていきたいと思っています。