学生時代に地方に住んでいたのですが、学生なのでお金が無い事もあり、6畳一間のアパートで生活をしていました。
昼間は学校で勉強をして夜は居酒屋でバイトをしている、普通の学生だったのですが、帰って来ては寝ると言う生活です。
そんなある日の事ですが、夜遅くバイトから帰ってくると、とても疲れていたせいか、畳の上にそのまま寝てしまいました。
すると、隣の部屋から女性が同じ事を繰り返し言っている声が聞こえてきました。
声と言うよりは囁く様な感じで、何を言っているかは分からないのですが、間違いなく女性の声です。

始めは隣の方が電話で喋っているのか、他の住民の方の声だと思い気にはしていませんでした。
ところが数日後に、また女性の声が聞こえだし、いつものように同じ事を言っている声が再び聞こえだしました。

ちょっと不気味な感じがしましたが、女性であることは間違い無いですし、独り言だろうと気にしないようにしていました。ところがある日の事です。

親しくしている大家さんがいたのですが、害虫退治の為に煙の防虫剤を焚くので、部屋の窓を閉めておいて下さいと連絡が入りました。
それで分かりましたと返事をしながら、お隣さんにも伝えておきますと、大家さんに伝えた所、隣には誰もいませんよと返事が返ってきました。

おかしいなと思ったので、隣の女性の方に言っておきますと、繰り返し言った所、本当に誰も居ないと言われました。
話を続けているうちに、一階には私一人が住んでおり、2階には二人が居住をしていて全員で3人だと言われました。

つまり、隣の部屋には誰も住んでおらずに私一人だと言う事です。

そんな筈は無いと思いましたし、確かに隣から聞こえていたので、声が聞こえたと言うと、どんな感じの声、と聞いてきました。

それではっきりと、若い女性の声で、うわ言のように同じ事を繰り返し言う女性の方ですと伝えました。
すると大家さんが、ちょっと怪訝そうな顔をしだし、何かの間違いでしょう、疲れているから空耳でしょうと、何かを思いつめた表情で足早に去っていきました。

何か悪い事を言ってしまったのかと思ったのですが、正直に隣の声の事を話しただけなのに、どうしてだろうと思いました。

それから数日後の事ですが、学生仲間が遊びに来たのですが、お酒も入っていたので仲間全員のテンションが高くなり、皆でふざけながら飲んでいました。

実はアパートに入居した時に、冷蔵庫が始めから備え付けられていたのですが、その裏に友人が財布を落としてしまい、手が届かなくて取れないので、冷蔵庫を皆で移動をする事にしました。

すると壁の一部が小さいベニヤ板で覆われており、酔っ払った友人がその板を剥がし始めました。
始めは止めろと言ったのですが止める気配も無く、経年老化で直ぐに剥がれてしまいました。

ますます、友人の悪ふざけがエスカレートして、さらに剥がれた箇所を覗き始めたのですが、友人が一言、なにかある、と言い出しました。

皆で、その中を覗くと明らかに部屋があり、なんでこんな所に部屋があるのかなと思いました。
興味が合ったので皆で狭い隙間から中に入ると、部屋の中にはベットが置いてあり、洋服ダンス、机、古いテレビ等が、そのまま置いてあり、まるで誰かが生活をしているようでした。

ですが、表の廊下にはドアは見当たらずに、コンクリートの壁だけで入り口等は一切ありません。

アパートの外側から見ても窓は一切無く、普通の外壁で覆われています。
その後、ベニヤ板を剥がした事もあり、大家さんに謝りに行ったのですが、悟ったのか全てを話してくれました。

実は、一昔前に若い女性の方が住んでいて、彼氏と揉めてしまい、部屋の中で女性が殺されたそうです。
身内が居なかったみたいで、その後の部屋の処分に困ったそうですが、不気味な出来事も起こり、入り口はコンクリートで固めて一枚の壁にし、窓も外壁で隠してしまい全てを封印したそうです。

全てを聞いた時に、あの声は女性の声だったのかと思いましたし、聞いているうちに現実味が帯びてきて震えが止まらなくなりました。

まさしく封印された不気味な館の出来事でした。